お米つくりの一年を令和5年の「ミルキークイーン」と「姫ごのみ」と「ゆうだい21」の栽培で紹介しています。
モミガラ堆肥や野菜残渣の堆肥で土つくりしています。自然出芽、NOシャワー潅水によるポット育苗のポット稲作です。間隔を開けた田植えで日光を十分に受け、通気性も良くて病気になりにくく健康に育ちます。
ポット稲作・ポット育苗はオリジナルの自然出芽とNOシャワー潅水で丈夫な苗つくりをしています。
ポット苗は土付きで本葉が4.5〜5葉の成苗です。田植え後「しおれる」などの植え困りなどはありません。田植え当日に活着する非常に丈夫な苗です。
ポット育苗の自然出芽やNOシャワー潅水は一般的におこなわれている栽培方法ではありません。あぜみちのオリジナル技術です。
1ポットわずか4mlの土に播種された種もみを自然環境のもとで出芽させる方法(自然出芽)、水やりはNOシャワー潅水による方法を詳しく紹介しています。
マット苗の苗箱(60×30cm=実際は58×28cm)に150gぐらいの種もみを撒きますので本葉が3枚まで生育させるのが限界です。
本葉が3枚で自然な環境で生育させた場合は温度が低いため苗はものすごく小さな苗になります。田植え機による田植えでは支障がでます。
そこで保温したり、光を弱めたり、風に当てないようにしたり、土が乾かないようにしたりと稲の自然に生育する環境とはかけ離れた環境で育てて軟弱徒長の苗にして大きく伸ばしています。
自然の生育生理を無視したこの育苗方法はカビの発生、高温障害、水分不足、水分過多による酸素不足などとかく問題が発生し易いです。
ポットの自然出芽ではこのような問題はいっさい発生しません。
発芽とは種もみが芽を出すことです。催芽とも言います。
出芽とは育苗箱に播種した種もみが芽を伸ばして土の上に葉を出してくることです。
鞘葉→不完全葉→本葉第1葉→・・・の順で稲は葉を出します。最初に見えるのは鞘葉か不完全葉です。
鞘葉は葉緑素を持たないのでいつまで経っても白いです。
不完全葉は葉緑素を持っています。自然出芽では光が十分当たること、温度が低いので成長がゆっくりのため目視できたときから緑色をしています。
4月6日
ポット育苗:育苗ベッドを作りました
管理機でベッドを作ります。ポット育苗シート(苗箱)(60cm×30cm)を縦に5列(約5尺)で並べますのでベッド面は+6尺オーバーになるように作ります。
管理機を通す位置の図です。管理機の溝幅は1尺7寸ぐらいです。灰色は通路(水堀)、薄黄色は苗箱設置のベッドです。
(私は尺貫法は習っていませんが尺、寸は便利ですので良く利用しています)
1回目播種の苗シート(苗箱)を置くベッドに水を入れてベッド面を平らにするとともに水位を利用して高低差をできるだけ少なく作ります。自然出芽とNOシャワー潅水の要で水管理が楽になります。
右の道具は簡単な作りですがベッドを平らにするために考案したすぐれものです。「ベッドならし」はオリジナル道具です。
仕上がったら水を抜いてベッドも通路も固めます。理想は通路が乾燥して運動靴で歩けるようになると苗箱設置が楽です。
姫ごのみとJA出荷の品種を置きます。
2回目播種の苗シート(苗箱)を置くベッドです。
ミルキークイーンを置きます。
3回目播種の苗シート(苗箱)を置くベッドです。
ミルキークイーンとゆうだい21と姫ごのみを置きます。
4月12日
姫ごのみとJA出荷品種を温湯消毒して浸種を開始しました。
浸種の写真です。浸種、催芽芽(発芽)の装置でオリジナルです。
4月16日
1回目播種を明日おこないます。準備しました。
土に水を与えてビニールで覆って水分を均一にします。
播種機もOKです。
4月17日
1回目播種しました
自然出芽
ベッドに寒冷紗を敷きます。
播種した苗箱をベッドに並べます。
並べ終えた苗箱に幅の広い寒冷紗を掛けます。
寒冷紗は網目が1mmのものです。
ベッドも通路も良く乾き固くなりました。これなら運動靴でスイスイと作業ができます。楽です。ベッドには大ヒビが入っていますが苗の成長には全く問題ありません。
NOシャワー潅水
寒冷紗を掛け終えたら潅水します。すべての苗箱上面まで水を張ります。
水を落としますが、水堀(通路)に水を残します。
自然出芽とNOシャワー潅水です=オリジナルのポット育苗です
自然出芽
被覆は網目1mmのネットの寒冷紗で通気性があって保温性と保湿性はありません。
自然環境で出芽します。
ポット苗箱(60cm×30cm)は448個のポット穴があります。1つのポットに入る土の量はわずか4ml(cc)です。
一般的なマット苗の苗箱(60cm×30cm)に使う土の量は3,000〜4,000ml(cc)です。
ポット苗箱の土はマット苗の750分の1から1,000分の1で、いかに乾きやすいかが土の量からしてもわかると思います。
播種したポット苗箱を1mmの網目の寒冷紗だけの被覆で出芽させることは大変なことです。ポット育苗でこの自然出芽を始めたのは20年以上前です。たぶん私が初めてだと思います。
次のNOシャワー潅水は自然出芽よりも1年ほど早く始めました。
NOシャワー潅水
手動タイマー:自動OFF
一般的には潅水はシャー潅水ですが私は苗箱上面までポンプで水を張ります。
すべてのポットの土に十分水を含ませることと、労力の軽減のためです。
どのくらいの時間ポンプを動かせばよいかわかりますから停止はタイマーでおこないます。
ポンプが止まった頃に行って排水します。水堀(通路)に水を残して止水します。
このタイマーは50年くらい前の古い乾燥機のものです。アナログタイプで使い勝手が良いので機械屋さんから乾燥機の入れ替えで使わなくなった乾燥機のものを4個いただいて100V用と200V用の電気で使えるようにして使っています。
24時間タイマー
毎日決めた時間に潅水します。
今年の場合、籾ふりが終わりすべての苗箱が設置された以降は毎日9時から10時までの1時間の潅水をおこなっています。
ポンプが止まってから15分ほど落水します。1日1回の潅水です。
水堀(通路)に水を残しますが、自然出芽のためポットの土から蒸散がたくさんあり、種は酸欠にならないです。
しかし、一般的なポット育苗では水堀(通路)の水はすべて排水します。それは自然出芽でないからです。被覆材が保温性と保湿性があるためポットの土は蒸散しません。水堀(通路)に水があると加湿状態で酸素不足になり出芽しません。
霜害防止装置
自然出芽では霜害が心配です。NOシャワー潅水で暖かい地下水を苗箱が隠れるまで張ることで霜害を防ぎます。
気温が下がり霜が降りるのは就寝中の夜中から明け方です。そこで気温が下がったら自動的にポンプを動かして地下水を張るようにしています。気温感知サーモです。
自然出芽とNOシャワー潅水を楽におこなうことができるのは平らで高低差のないベッド作りがあってです。
私が考案した「ベッドならし」の道具は簡単な作りですがなくてならないものです。これがなかったらポット稲作は現在まで続けてきませんでした。
4月18日
2回目播種のベッドを作りました。
昨日ベッドに設置した姫ごのみなど
曇りで一時晴れ間もありましたが午後から小雨でした。ポットの土は乾いてないので今日は潅水しないで済んでいます。
4月19日
昨日ベッドに設置した姫ごのみ
苗箱上面まで潅水します。そして落水しますが水位がベッド面くらいのときに止水します。
4/18に作った2回目に播種するミルキークイーンを置くベッド
2回目播種用のミルキークイーン種もみを温湯消毒後浸種しました。
温湯消毒
温湯消毒は60℃のお湯に10分間浸します。この間、温度が下がってきたらガスに点火して60℃を維持します。
10分経ったら冷水で種もみの温度を冷やします。
温湯消毒は以前はお風呂でおこなっていました。ガスで沸かすタイプのお風呂で湯量も200Lと多かったので温湯消毒に適していました。
お風呂をリフォームしたため現在はお風呂で温湯消毒ができなくなりました。
現在は大鍋でガスコンロでおこなっています。ポット稲作の種もみは10a1kgも使わないので回数が多くなりますがそれほど大変ではありません。
浸種・催芽(発芽)
浸種・催芽(発芽)は日にちの積算で水温が約100℃で種もみは発芽すると言われています。
例えば15℃で5日間おこない30℃で1日おこなうと積算温度は105℃になりますね。これが理想ですが浸種の水温を変えることで予定よりも早めたり、遅らせたりできます。
上の筒は塩ビのパイプで圧縮空気を出すノズルを入れます。下の筒はステンレスの煙突を利用したものでパイプヒーターを入れます。
2つの筒と種もみを入れた写真です。
上が圧縮空気のノズル、中央がパイプヒーター、下が水の温度を検知するサーミスタが先端に入っています。
浸種をしている写真と温度調節のサーモスタットとコンプレッサーの高い気圧を下げる減圧弁です。
減圧弁で空気量を調節します。
この温度調節サーモは換気扇用のものです。温度が上がるとスイッチが入ります。
ここでは温度が下がるとパイプヒーターに電気を流したいのでサーモスタットはマグネットスイッチ(リレー)を動かします。温度が下がったときに(リレーに通電されてないときに)パイプヒーターに電気が流れるようにしてあります。
浸種・催芽の装置を詳しく紹介
4月20日
浸種をしているミルキークイーンの水を交換しました。
4月21日
1回目播種のベッドの姫ごのみ 午前10時に潅水した後ベッド面くらいまで落水しました。
今日は暑くなりました。
午後2時に潅水しました。潅水前=ポンプを止めた時=落水を止めた時
4月24日
ミルキークイーンを播種して育苗ベッドに設置しました。
催芽した種もみの水気を切るために洗濯機で脱水しました。
洗濯機の脱水層で水を切る方法はかつて成苗機械2本植え研究会の稲葉先生とU会長から教えていただきました。
播種したポット苗箱は軽トラに積んで育苗田んぼに運びます。
播種はつの1ベッドの分だけ播種してベッドに設置します。そしてスズメに食べられないように寒冷紗で被覆します。設置が終わったら次のベッド分を播種して設置します。
設置が終わったら潅水します。そして水が行き渡ったら落水しますが通路に水がある状態で止水します。
1回目に播種した姫ごのみです。
1回目に播種した姫ごのみ(手前)と今日播種したミルキークイーン(奥側)
4月25日
ミルキークイーンとゆうだい21と姫ごのみを播種したポット苗箱を設置するベッドを水を上げて作りました(3回目播種)。
左の寒冷紗被覆のベッドは2回目播種のミルキークイーンです。
水を張ってベッドを平らにして高低差も少なく作ります。
ミルキークイーンとゆうだい21と姫ごのみの種もみを温湯消毒しました。
温湯消毒が済んだミルキークイーンとゆうだい21と姫ごのみの種もみの浸種を開始しました。
水温設定を15℃にしましたが気温がもっと高いので実際の水温は18℃でした。
4月27日
1回目播種した姫ごのみ
均一に出芽しました。
2回目播種したミルキークイーン
まだ播種したときと同じです。
3回目に播種するゆうだい21とミルキークイーンと姫ごのみは浸種中(予定は5月1日)
4月29日
姫ごのみ
寒冷紗を突き抜けてきました。
ミルキークイーン
出芽が始まりました。
5月1日
3回目の籾ふりをしました。
品種:ミルキークイーンとゆうだい21と姫ごのみ
1回目に籾ふりした姫ごのみの葉が寒冷紗を突き抜けてきましたので棒で寒冷紗を引き上げて葉を寒冷紗の下に入れました。
育苗田んぼに作ったすべてのベッドに苗箱が設置されました。
5月2日
2回目に播種したミルキークイーンです。
5月4日
1回目播種の姫ごのみです。
2回目播種のミルキークイーンです。
3回目播種のミルキークイーンです。
まだ出芽していません。ゆうだい21と姫ごのみも出芽していません。
5月5日
2回目播種のミルキークイーンの葉が寒冷紗を突き抜けてきました。
寒冷紗の下に棒を入れて寒冷紗を引き上げると突き抜けていた葉は下に入ります。
5月7日
1回目播種の姫ごのみ
2回目播種のミルキークイーン
3回目播種のミルキークイーンとゆうだい21
ミルキークイーン
ゆうだい21
5月8日
1回目に播種した姫ごのみの寒冷紗を除去しました。
5月10日
1回目播種の姫ごのみ
2回目播種のミルキークイーン
3回目播種のミルキークイーンとゆうだい21
ミルキークイーン
ゆうだい21
5月12日
1回目播種 姫ごのみ
2回目播種 ミルキークイーン
寒冷紗を除去しました。
3回目播種 ミルキークイーンとゆうだい21
ミルキークイーン
ゆうだい21
5月16日
3回目播種のミルキークイーンとゆうだい21の寒冷紗を除去しました。
ミルキークイーン
ゆうだい21
5月25日
2回目に播種したミルキークイーン
5月27日
3回目に播種したミルキークイーンとゆうだい21
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